2015.07.01

Caféパリネコ

Store Info

常連さんが口をつぐむ!?カフェ

お昼はお弁当派のアナタも、この記事は必見です。「こんな所に!」とびっくりするような隠れた場所にそのカフェはあります。働く妊婦さんが毎週通い続けた…、3時間眠りこけてしまったお客さんがいた…などなど、開業1年目でありながら数々の伝説を持つ「Caféパリネコ」。常連さんたちが口をそろえて「ダレにも教えたくありません」と内緒を決め込む一軒。今回、取材解禁となったのは、とある方の口ぞえがあったからこそ。知る人ぞ知る、隠れ家です。

ビルの3階、全13席の店内を切り盛りするのは「アリカ」さん。子育てを終え、両手が空いてから…、コーヒー専門店や選科の講習で学ぶこと数ケ月。その後はゼロからこのスペースをカフェへと仕上げていったのだとか。背中を押してくれたのは「お義母さん、やってみましょうよ」というお嫁さんのひと言。建築のプロであるご長男夫婦が、アリカさんの思いを汲み取り、現在のカタチへと創り上げてくれたのだそう。

そんな店内にはアンティークの調度品や家具が配され、まさにパリの面持ちに。アンティークといえども「●●年代の●●製の…」なんて記号暗唱のような説明はありません。「これは、長年家族で大切に使ってきたものなんです」というアリカさんの言葉で充分…その真価が伝わってくるのです。ソファーも円卓もチェアも、そのもの以上の価値を秘めています。いちど触れてみてください。温かな空間で大切に扱われた家具特有の手触りと風合い。これ以上は、言葉での説明は難しい!

歳月を経て熟成を極めたアイテムがもう1点。こちらのアップライトは、以前のお店から置いてあったもの。いまでも懐かしく、このピアノを眺めにくるお客様もいるそう。そしてメインとなるカウンターは、圧倒的な奥行きが寛ぎを誘います。ゆとりある設計サイズとデザインには「ゆっくり過ごしてほしい」といった思いが込められています。ソファで3時間寝込んでしまったお客さんの気持ちが分かる、と思いきや…ほんとの隠し味は、他にもたくさん隠されていました。

この店のイメージキャラであるネコ夫人。ツバ広のお帽子に日傘を持ってオシャマさんですね。イラストを手掛けてくれたのは、やはりアリカさんに由縁のある方。カウンターにはコンセント。そして店内にはwifiも完備。「働く女性の味方でありたい」というアリカさんの思いを汲んで、息子さんがアイデアを出してくれたのだとか。皆でアリカさんのカフェを実現した軌跡が伺えます。

ジャズが流れる店内に、トントンと包丁の音が聴こえてきます。水道の音やフライパンを熱するパチパチとした音、食器を並べる音も。アリカさんの料理が始まったようです。まるで実家の台所から聴こえてくる音のよう。仕事の「調理」ではなくて、手しごとの「料理」の音なんです。そう!居間でTV見ながら、ごはんを待つあの懐かしい感覚。「自分はプロじゃないから」と謙遜するアリカさんですが、だから だから、この音になるんですよ。

いただくのは「日替わり定食」。品数が多い!しかも野菜がいっぱい!メニュー構成のコンセプトを伺ったところ…「いま、遠方に独りで住んでいる娘に、栄養バランスのいい食事を摂って欲しい。そう思いながら作っています」との答えが。はい、いまコレ読んでる独りぐらしのアナタ。今週末、実家に帰りたくなりましたね、間違いなく。そう、コンセプトとか商品とか、そんなどうでもいい話は非力で無意味。この一食はまさに愛そのもの。アリカさんがご家族に作り続けた味なんです。

たくさんの根菜が入ったお味噌汁。アリカさんの自家製味噌に野菜の甘味がぎゅーっと沁み出した、優しい味わい。「こんなに具材が入る汁物って、上品じゃないかもしれないけれど、根菜をたくさん食べて欲しくて」いえいえ、だからいいんです!これは、お母さんのお味噌汁です!

小松菜の和え物には油揚げ。炒った胡麻がフワリと香る一品に食欲が増すばかり。かぼちゃのそぼろ煮は生姜の風合いがインパクトに。この2品を味わって気がつきました。アリカさんのお料理って、調味料ではなく、胡麻や生姜といった素材で味の強弱をつけているよう…。「そうですね、味を加えるというより、素材同士でお互いに味を引き出させる…って感じかも」。

そのほかにも、シャクシャクと食感のしっかりした生野菜サラダや・・・

鉄分やカルシウム、ビタミン、食物繊維などが豊富な十六穀ごはん・・・

そしてメインは、宮崎に由縁のあるアリカさん自慢の鶏南蛮。ひと口いただくと、その柔らかさにビックリ。しっとりとした胸肉の秘密は「包丁を入れる方向にポイントがある」とのこと。ラッキョやピクルス、自生のパセリをたっぷり混ぜ込んだタルタルソースも秀逸です。

「お口にあいますか?フツーの味でしょ?」と、これまた謙遜のアリカさんなのですが。疲れているとき、気持ちがザワつくとき、食べることで心が落ち着く、丁寧に丁寧に作られた「ごはん」が何とも嬉しいのです。そして…よくよく見ると、使われている器にびっくり。骨董レベルの1点じゃないかしら。「家で代々使われてきたものなんです。年代物のようですが」。そうそう、家具でも器でもこんな風に答えるアリカさん。お人柄が分かるでしょ?温かくて品のあるネコ夫人、それがアリカさんです。

最後はコーヒーで一服。一回ずつ豆からミルにかけ、サイフォンにかけます。この時間が何とも贅沢。
この時ばかりは職人の面持ちで手を動かすアリカさん。そして・・・

お手製のクッキーとともにいただきます。酸味と苦味のバランスがいい一杯で、ひと口ごとにアリカさんとの会話が弾みます。こうやって、常連の皆さんは午後の仕事へ力をチャージするのでしょう。最後、辞するワタクシに「この後もお仕事?」と聞いてくれ「がんばりすぎずにね」と声をかけてくれました。ほんとに今回、この店、紹介しちゃいますか?ワタクシも「ダレにも教えたくありません」。ずっとずっと内緒にしたい一軒です。

  • 日替わり定食(数量限定)800円
    コーヒー(ホット/アイス)400円
    アメリカンコーヒー 400円
    紅茶(ホット/アイス)400円
    カフェオーレ(ホット/アイス)450円
    ココア(ホット/アイス)450円
    ミルク(ホット/アイス)400円
    オレンジジュース 400円
    アップルジュース 400円
    ジンジャーエール 400円
  • ※全て税込み価格。

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