2016.03.01

漆器で始めたい、シアワセ新生活

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ワタクシに本物なんてわかるんでしょうか?

ポストラグジュアリーの流れを受けて、いまワタクシの周囲では伝統・正統・歴史キーワードの購入動機が相次いでいます。少し前までは「かわいい~♡」が全ての消費&行動の価値判断だった女子たちが「味がある」とか「風合いが・・・」なんて急に大人になったりして、置いていかれないように少々焦るワタクシです。世の中は成熟するんですな。でも、もって生まれたお里は変えられない。なんせうちのママだって、風流なもんとは無縁。そんなワタクシに本物なんてわかるんでしょうか?

やってきたのは心斎橋で創業140年、増田漆器店さん。輪島塗をはじめ、越前塗 ・山中塗・会津塗・春慶塗・若狭塗と、伝統の漆器が並びます。「漆器を洗剤であらっていいの?乾かすには?長持ちさせたい」そんなあらゆる疑問にも専門家が回答。漆初心者にも安心の購入ができます。

外国の観光客さんがお箸を買ったり、お土産を物色したり・・・と最近はグローバルな店内なのですが、もとは家具や歳時品を扱っていた超がつく専門店なのです。恐る恐る・・・入店。店内にはあらゆる商品が並びます。

 

ハッと目を釘付けにされたのがこちら。四国・高松の「尺一アジロ彫角盆」。アジロ(網代)といえば、数寄屋の天井に施され、陰影を美しく映し出すあの編み方。それが桜の木で彫り起こされる一品。33cmの正方形に配される編みの彫りは、まるで本物の竹編みのような細やかさ。光を受けて細やかに現れる陰影がなんとも美しい!そして、なんといってもこの漆黒。幾度も塗られた漆で深みを増しています。なんだ「本物」を見れば、ワタクシにもちゃんと分かるじゃない。

 

こちらは同タイプの根来塗「尺一アジロ彫朱錦角盆」。和歌山の根来寺の僧が寺内で使う器に施した塗りです。黒漆で一旦は黒くして、その後に朱漆を塗って、表面を削りながら黒漆を浮き立たせたもの。こちらも、すんごく美しい。日本語で表す「赤」は、茜だったり紅だったり朱だったり。これはまさしく「朱」ですね。これらの盆って何に使うんでしょうか?店主様に相談です。

 

「ルールはありません、お好きに使ってください」と店主様はニッコリ。お好きに??お菓子乗せてもいいの?「どうぞどうぞ」サラダは?「どうぞどうぞ」つまりは、自分のセンス次第でOKということ。お手入れは中性洗剤で、すすいだ後はやわらかい布でしっかりと水分を取ることだけを守って。あと、洗浄機や乾燥機はNG。なーんだ、ワタクシにも使えそう。

さらに!目に飛び込んできたのがこれ!飯椀と汁椀なのです。左の飯椀はケヤキ。石川県の山中塗りです。右はサクラ。これも石川県の山中塗りで金と銀の桜が描かれています。重ねて書きますが、これは「木」なんです。木がその質感を持って、こんなにキラキラと陽光に乱反射するのは「塗り」だから。

こちらは漆黒。美しいですね。手で持ち上げてみるとあまりの軽さに驚きます。朱も漆黒も、ご飯の白いツヤや味噌汁の茶色を美しく魅せてくれるだろうな…と妄想。こんな伝統の逸品で朝ごはんを迎えられ
たら、毎日1時間早く起きて、土鍋でお米炊いて…ん~生活変わりそうですね。そう
いえば、これらって、どうやって作られているんでしょうか?

漆器を作るには、まず木を削って形を作る木地師さん、そして塗りを施す塗り師さん、そして、漆で
絵や文様を描いて金を「蒔く(まく)」蒔絵師さんや模様を彫り金箔や金粉を埋める沈金師さんに分業。
たとえばこのケヤキ飯椀のサイドはすごーっく薄くなっていて、木地師さんの技巧が見える逸品。こん
なにエレガントなフォルムだと、ごはんガッツリかきこめないです。上品にね。

汁椀に施される桜は蒔絵の金と銀。今みたいな春先にこれを買って、毎日ごはんを食べながら1年1年
と歳を重ねていけたらすごく幸福だろうな…と思った時に気づいた!ワタクシ、いま“すごく分かって
る人”になってる。そうか、本物が分かるってそーいうことか!

とはいえ。まだまだ漆器のペアを一緒に使ってくれそうな相手にも恵まれず、こればかりは目前の店主
様に相談しても、明瞭な答えをいただけるわけもなく。春先にもかかわらず桜は散ってゆくばかりです
わ。

  • 尺一アジロ彫角盆  11340円
    尺一アジロ彫朱錦角盆 11880円
    欅飯椀 3450円
    汁椀 3960円
  • ※全て税込価格
  • ※価格は全て参考価格
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