2016.11.01

心斎橋ペアリング〜宇治園〜 | 特集 201611

心斎橋ペアリング〜宇治園〜

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心斎橋ペアリング

始めに、すみません!今回はレシピのご紹介ではないのです。食べ合わせ、飲み合せのご提案。日本語で「口中調和」、イタリア語で「アビナメント」、フランス語で「マリアージュ」とよばれる、食べ物と飲み物の「合わせ」。一皿と一杯が相乗して、1+1を100にも1000にも広げてくれるペアリングを、心斎橋の名店で模索するという試みとなりました。なにとなにを合わせてみるのかというと…

明治2年、京都山城にて創業した老舗のお茶やさん「宇治園」さんからは、「火男(ひょっとこ)」。香りのいい焙じ茶です。そして・・・

2012年、心斎橋に鳴り物入りでオープンし、根強い人気を誇る「焼きたてチーズタルト専門店PABLO」さんからは、「PABLO mini(パブロミニ)」。どちらも、強い個性と持ち味の逸品。

まずは、宇治園さんの「火男(ひょっとこ)」から紹介いたします。みなさま、焙じ茶というとどんな印象をお持ちですか?私は真っ先に「香ばしいかおりや力強い味わい」を連想します。ですが宇治園の「火男」はひと味もふた味も違う。素敵に期待を裏切ってくれます。

まずは茶葉。一番茶の雁ケ音、茎茶を原料としており、茶葉の中には茎がチラホラ。これが独特の甘味を生むのだとか。要は火入れで、ドラム式の焙じ機でグルグルと効率よく火入れするのが一般的なのですが、こちらは、棚式火入れと呼ばれる加熱法で、遠赤外線でじっくりじっくりと火を入れるそう。芯まで火の入った葉と茎は、強い香りとクリアな甘さが自慢です。

店頭では試飲もできます。鉄瓶でまろやかに温められた湯を、急須にゆっくりとそそいでしばし待機。もういい香りが漂ってきました。

注がれる一杯は黄金色。赤こげ茶カラーの一般的な焙じ茶が「日用品」ならば、こちらの一杯は「ハレカラー」とでもいいましょうか。

ひとくち戴くと、甘味と旨味が一瞬で口内にひろがり、鼻孔を抜ける香りはなんとも流麗。インパクトは非常に強いのに、サッと波が引く。その際は、香りが幾層にも飽和して、にも関わらず透明度の高い爽涼感がたまらないのです。これまでの焙じ茶の概念が覆る、宇治園の「火男(ひょっとこ)」は、洋菓子である「PABLO mini(パブロミニ)」と出会ったとき、どんな変貌を遂げるでしょうか??楽しみですね。

PABLOでは真っ赤なバッケン窯からタルトが焼きあがっています。通りから眺められる製造工程は、タルトを作る=エンタメな臨場感。

ナイフを入れた瞬間にトロリととろけるレアと絶妙な焼き具合にうなるミディアム。厳選素材を合わせて焼き上げるシンプルな逸品。なので、混ぜる頃合、加熱の加減、それらには円熟の技とスタッフたちの六感が秘められるのです。クリームチーズをたっぷり使用した生地を練り、タルト中央からたっぷり注ぐ。卵をハケで塗り、真っ赤な南蛮バッケン窯へ。

ここPABLOでミニサイズタルトが商品化されたのは1年前。本来15cmのワンホールが、6.5cmのミニサイズとなり、味の展開が多彩となりました。ワンホールを切り分けて、みんなで味わう楽しみから、好みの味わいを選ぶ楽しみが加わって、PABLOが仕掛けるチーズケーキ革命はさらに躍進!

心斎橋店では「プレーン」、「濃厚とろけるチョコ」、「濃厚とろける宇治抹茶」の3種を展開。上下2段に収まる6個セットは、手土産にも重宝されています。

「濃厚」と銘打つチョコと抹茶、そして、オリジナルのホールとはクリームチーズを変えて、6.5cmサイズとしての完成度を高めるプレーン。ひとつひとつの個性と主張はかなり強い!特にチョコは時間が経ってもトロリととろけるテクスチャーが圧巻です。

さて、この宇治園の焙じ茶「火男(ひょっとこ)」とPABLOのミニサイズタルト、どんな口中調和を魅せてくれるでしょうか。洋菓子と日本茶、ということもありますが、どちらも主張の強い逸品。仲良くなるのか、ケンカしてしまうのか、それとも、「知らんわ」と反目するだけなのか??

まずは「プレーン」をひとくち。濃厚なクリームチーズはコクはもちろん酸味も強く、食べ応えは抜群。加熱することで増す「香り」もご馳走に。

そこで「火男(ひょっとこ)」をひとくち。「!」濃厚なクリームチーズにまったく負けることなく、口内に広がったクリームチーズの芳醇味をさらに強くしてくれます。それだけではありません、香ばしくも甘い香りがチーズの酸味と相乗、その上で、キレイに逃がす…。この後口が印象深い余韻となって次のひとくちのスタンバイにもなるのです。

次に「濃厚とろける宇治抹茶」をひとくち。一瞬、爽やかな緑の香りが抜けたかと思えば、深い渋みが甘いクリームとともに追っかけてくる!味の流れが明瞭すぎるほど明瞭な味わいです。

そこで「火男(ひょっとこ)」をひとくち。抹茶のスイーツと焙じ茶なんてミスマッチ?かと思いきや抹茶の渋みと焙じ茶の旨味が見事に演算♪共同しながらクリームの甘味を引き立てるのです。抹茶があまりにも濃厚で、焙じ茶の香りは若干引き気味。邪魔することなく脇役に徹し、香りのフレーバーで応戦!抹茶も「火男(ひょっとこ)」も、お互いに引き立てています。

最後に「濃厚とろけるチョコ」をひとくち。ふくよかで奥深くて輪郭明瞭な味わいが、なんとも儚いくらいのトロリとした食感で口内に広がります。こんなに濃厚だったら、エスプレッソか赤ワインくらいしか合わないのではないかと思いきや…

プレーンや抹茶以上に、「火男(ひょっとこ)」の新しい表情を魅せてくれました。それは、焙じ茶の酸味!濃厚なチョコは焙じ茶の薫香をサッと消してしまいますが、心地よい酸味をグングンと引き出して、チョコの芳醇さとお見事に調和。ピュッと口を突き出した「火男(ひょっとこ)」が可憐で華奢に変身!これは、これまで以上の驚きでした。

こんなにも「俺は」「私は」と主張の強い2つの味が、嬉しい驚きでマリアージュ。双方一歩も退かないながら、硬軟自在にキャラクターを変化して、新しい魅力を魅せてくれます。

味への探究心が強い方や美味しいものが大好きな方への手土産に、是非とも宇治園の「火男」(ひょっとこ)とPABLO の「PABLO mini(パブロミニ)」を合わせて。おいしい発見が待っていますよ。

  • 【宇治園】
    火男(ひょっとこ)40g 500円
  • ※全て税別価格
    ※価格は全て参考価格

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