EXPERIENCE

2025.09.05

浮世絵は、ただただ楽しむもOK
大人気ドラマに歓喜したら、
本物を見ないわけにはいかない!

大阪浮世絵美術館

1週も見逃せない! “痛快”エンターテインメントドラマ!

浮世絵は、江戸時代当時のポップカルチャーだった。
学生の頃、もしそんな講義を受けていたら、もっと夢中になったかもしれない。同じく、
浮世絵は、ただただその魅力を自由に楽しめばいい。
かつて、足を運んだ美術館がそう伝えてくれていたら、もっと夢中になったかもしれない。

それが、いま、心斎橋筋商店街で起きています。
場所はもちろん『大阪浮世絵美術館』。

大人気ドラマとの相乗で、これまで浮世絵に接触のなかった方々が多く訪れているんだとか!

来年の1月25日まで開催『べらぼうな浮世絵師22人展』

来年の1月25日(日)まで開催している企画展『べらぼうな浮世絵師22人展』。これまでテーマに沿った企画展を大得意としてきた同館がジャンルを絞らずに魅せてくる、この開催。敢えて言うならば、そう!浮世絵師その人たちをクローズアップした企画展なのです。

円山応挙・葛飾北斎・東洲斎写楽・歌川豊国・歌川国長・三代豊国(国貞)・歌川広重・歌川国芳・歌川貞秀・歌川芳艶・二代国貞・二代広重・歌川芳盛・歌川芳幾・楊洲周延・月岡芳年・三代広重・小林清親・尾形月耕・水野年方・月岡耕漁・吉田博

・・・、ふう。ほんとうに<一挙公開!>なメンバーが勢ぞろいですね。

だって、ドラマをご覧のみなさま、気になるでしょ???
あんな背景があった「彼」のリアルな作品や、あの俳優さんがヒョウヒョウと演じている「彼」の本物のお仕事、そして、それらをプロデュースしていた蔦重の肉眼が「何を」眺めていたのか?
その本物を知りたい、感じたい、自分の眼で観てみたい!

そんな欲求に真っすぐに応えてくれる大阪浮世絵美術館『べらぼうな浮世絵師22人展』なんですね。
なんとまぁ、粋な計らいだこと♡

彫りのシーン、そのリアル!/喜多川歌麿

職人さんたちが手先を射るように凝視しながら版木(はんぎ)を彫るシーンに驚いた方も多いはず。当企画展ではその版木も展示中。喜多川歌麿のこの主版(※色版を載せる前のアウトラインのことよ!)も・・・・・

この版木を転写したもの。歌麿は確かにスゴい。そして、彼の描いたものを版木にした彫師や転写していく摺師もスゴい。あらためて浮世絵って協働(分業)作業なんだと納得!

実際に眺める版木には、これを彫った人のお仕事の軌跡がまざまざと残されています。
線周りの緻密さと、色が載らない面部分の雑さも。ひと仕事ごとに「ふーーーー」と緊張を解く息遣いが聴こえてきそうなほど。これを眺められるのはとっても貴重な体験です。というのも・・・

浮世絵の「しごと」を今に伝える版木ですが、現存しているものは極めて少ないんだとか。「当時は火事も多くて、焼けてしまったり、表面を平らに削って次の版木に再利用したりしてたんですね」と教えてくれる学芸員のKさん。

「実際に手を動かした人」の仕事が尊ばれない傾向は過日も現在もおんなじですよ!(注:ワタクシ個人の見解です)
1800年代にタイムスリップして蔦重にコンコンと説教してやりたいわっ!(注:ワタクシ個人の憤りです)

初期作に垣間見る天才の片鱗/葛飾北斎

さて、このベロンと長い作品は「柱絵(はしらえ)」といって、柱や壁に貼り付けて飾る、いわゆる室内インテリア。作者は「勝川春朗」さんなんだって____?

はい、そうです。あの『冨嶽三十六景』を世に放った葛飾北斎の初期の作家名なの!
北斎と言えば、風景画における圧巻の芸術的構図構成。若手の頃はこんな工芸的なお仕事もしてたのね!

ところが、この作品、目が離せなくなること請け合い。タイトル『柱絵 七福神』の通り、上から・・・

・・・下まで。表情も動きも豊かにビーーーーーッシリと七福神がたちが描かれているんです。
このタテ型にですよ? しかも上下に「鶴」と「亀」をサンドイッチ配置して。柱絵というフレーム制限を逆手に取って、フレームから飛び出さんばかりに活き活きと息づく神様たち!
その巧みな構図からは後に天才と評される片鱗がまざまざと窺えます。

まさに「あの子は天才よ!(白目)」です。

構図もさることながら、細やかな部分も見ものです。(※ルーペは貸し出してくれます!)

ワタクシが大のお気に入りになったのが弁天(弁財天)さま。ご覧ください、すましながらも穏やかな表情が超かわゆくないですか?北斎の作品で「超かわゆい」とか感想としてNGですか?

「いえいえ。浮世絵は自由に気楽に、ただただ楽しむ…でいいんですよ。きっと北斎も弁天さまを“かわゆく”描きたかった、そう感じ取ってもらっていいんです」と学芸員さんもニッコリです。

わずか10ケ月、ポンと現われサッと去った/東洲斎写楽

ここからは、あの人の話題。

その生没年は不詳。本名も出生地も長きにわたって「不明」。役者の肖像を生々しく、さらには、その特徴をデフォルメする技法が当時はウケず、その評価は100年後のEUから始まった。そう、東洲斎写楽の件。

現在、シリーズ28図中、27図が東京国立博物館に収蔵され「重要文化財」となっています。
あの人気ドラマでも未登場、配役も未発表(25年8月現在)で、いよいよこれから登場です。

☑いったいダレだったの?
☑なんで大首絵(歌舞伎の役者絵)なのにカッコよく描かないの?
☑蔦重はどこで知り合って、何を評価してたの?
☑本人は人気がなくてもヘッチャラだったの?

こんな疑問にひとつの仮説(物語)として応えてくれるのを期待するばかり!

そんな写楽の『四代目岩井半史郎の乳人重の井』も鑑賞することができますが…〇〇は△△△だし、□□□は×××だし(注:自主規制)で、生々しすぎる人物像!

つまるところ、ぜんっぜんクールじゃない。

ところが、肉眼でよーーく眺めるとアラ不思議。人物が一瞬フワっと浮き上がるかのような印象が。
その秘密は「黒雲母摺り」という背景技法。鉱物を粉末にして混ぜ込むことで光沢が生まれ、人物に視線が向くという<非常に&極めて>手の込んだ技法。

写楽の「謎」における、大阪浮世絵美術館さんからのヒントはここまで!
あとは、みなさん、その肉眼でこの一枚を鑑賞して、今後もドラマを追いかけましょう♪

最後の浮世絵師/月岡芳年

月を題材とした月百姿シリーズの『月百姿 吼噦』

お坊さんに化けたキツネが「キツネ狩りをやめなさーい!」と人間を説得して大成功。「やれやれ上手くいった」と月を見上げた瞬間に気が抜けて姿がキツネに戻っている、という物語。なんだか、かわいいお話ですね。
精一杯に化けて説得して、気が抜けるって、なんだかキュートなキツネさん・・・・

・・・ではありませんでした。ちっともかわいくもキュートでもありません。目つきもマズルもチラリと見える牙も、なんだかそこはかとなく恐ろしい姿!

それもそのはず。学芸員Kさんによると、月岡芳年は「最後の浮世絵師」と言われ、明治の頃まで活躍。いろいろ思いっきり割愛してご説明しますと、
実は…オドロオドロシイ妖怪退治や超コワーイ無残絵も有名な浮世絵師。

試しにみなさん、この月岡芳年の名を検索すると予測変換に「鬼滅の刃」が出てくることに驚かれることと思います。そうなると、画像検索したくなるかもしれませんがちょっと待って。【PG12】レベルの怖すぎる浮世絵に遭遇しちゃうかも!?

フォトスポットもあります!


館内に新しくできていたのが「フォトスポット」。描かれる人物たちと時空を超えて記念撮影をしてみたり・・・

葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」といった世界的に名高い名画とともに撮影もできます。ちなみにこの2枚はもちろんフォトスポット用のレプリカ。

本物の「神奈川沖浪裏」は展示スペース(有料)に1年を通して展示してありますので、いつでも名画に逢えるのも大阪浮世絵美術館の醍醐味ですね!

いま、心斎橋で起きていることが見逃せない!

浮世絵は、江戸時代当時のポップカルチャーだった。
学生の頃、もしそんな講義を受けていたら、もっと夢中になったかもしれない。同じく、
浮世絵は、ただただその魅力を自由に楽しめばいい。
かつて、足を運んだ美術館がそう伝えてくれていたら、もっと夢中になったかもしれない。

それが、いま、心斎橋筋商店街で起きています。
場所はもちろん『大阪浮世絵美術館』。

来年の1月25日(日)まで開催している企画展『べらぼうな浮世絵師22人展』。これまでテーマに沿った企画展を大得意としてきた同館がジャンルを絞らずに魅せてくる、この開催。敢えて言うならば、そう!浮世絵師その人たちをクローズアップした企画展。

学芸員のKさんは言います。
「キレイだな、楽しいな、おもしろいな。そんな真っすぐな気持ちを湧き立たせてくれるのが浮世絵です。鑑賞の気持ちは自由です! この機会に浮世絵師たちの作品に会いに来てみてください!」

◇べらぼうな浮世絵師22人展
展示期間:2026年1月25日(日)まで

◇入館料
・大人 1000円
・学生 600円 ※学生証提示
・小学生 300円 ※7~12歳◇開館時間
10:00~17:00(最終入館 16:30)
※開館時間・休館日は状況により急遽変更となる可能性がございます。詳しくはホームページをご確認ください。

◇間近でじっくり
当館の展示室内には柵を設けず、無料貸し出しのルーペを使って繊細な浮世絵版画の技術や細かく摺られた模様などを間近でじっくりとご鑑賞いただけます。(数に限りがございます。全て貸出中の場合はご容赦ください)

・入場券1枚にて1名様に限り有効です。再入場はできません。
・入場券は切り離し無効です。
・入場券の払戻、交換、再発行はできません。
・館内の混雑の際には、入場をお待ちいただくことがあります。
・館内での飲食はご遠慮ください。
・館内の温湿度、照度は作品保護に適した環境に調整されていますので、ご了承ください。
・館内での写真・ビデオ撮影、模写ならびに鉛筆以外の筆記用具 の使用はお断りいたします。
・館内での携帯電話、携帯端末の使用はご遠慮ください。
・館内では係員の指示に従ってください。ご協力いただけない場合は退場していただくことがございます。

※エレベーター設備のないビルですので、当館3階まで階段でのご移動となります。予めご了承ください。
※ショップのみのご利用は、入館料不要です。お気軽にご来館ください。
※ご来館前に公式サイトをチェックいただくとよりスムーズにご利用&ご鑑賞いただけます。

店名:大阪浮世絵美術館
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-2-23 不二家心斎橋ビル3F
TEL:06-4256-1311
URL:https://osaka-ukiyoe-museum.com