大人なアナタは知っているはず。整然と咲き誇る桜よりも、風に乱れ舞うおびただしい花びらの方に息が止まる。しかもそれが夜桜だったらなおのこと。そんな「春」のワンシーンをひとつの和菓子に映し出した…それが福壽堂秀信。昭和23年創業の大阪の老舗、本店は帝塚山。「まずは餡を召し上がれ」の言葉の通り、専任の餡炊き職人さんが手がける極上の「餡」。その餡に“夜”を投影し、夜桜の趣きをギュッと閉じ込めたのが「季の花 桜」。

舟形の透明なフォルムに忍ばせるのは、同社自慢のこしあん。ヒラヒラと舞うような白色は道明寺の粉。餡と道明寺で描くのは、花弁乱れ舞う「夜桜」のワンシーン。可憐で可愛らしい桜…ではなく、どこか激情をも思わせる…もうひとつの桜の姿。そんなヴィジュアルも興味深い「季の花 桜」ですが、味わいにも思わず膝を打ちたくなる秘密アリ！10代の女性も「おいしぃ～い♪」と満面の笑みをこぼすほどの福壽堂秀信マジックが隠されているのです！

その秘密は…この透明の部分。実は道明寺羹を使い、天然の桜葉リキュールを注いでいます。そう、ひと口味わえば…あの“関西風桜餅”のテイストに驚き！道明寺のモチモチとしたテクスチャーとなめらか極まりない餡を楽しみながら、次第に広がる桜餅の風味。まるで、伝統の関西風桜餅をいちど解体して、夜桜に見立てて再構築したかのような妙味。なんともアイディーア！な季節の生菓子ですが…実は長年多くの方々から愛される伝統の逸品。撮って投稿したくなること間違いなし！